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2022年7月31日

  
安井修学会 梅田ゼミ

 2018年も、安井修学会の梅田ゼミを開催させていただきました。
 講師の講義も素晴らしく、質問を通じての講師と聴講者との相互の対話の時間が不足する程に盛況なゼミでした。

講義のスケジュール
2018年9月1日()10:30~13:30に、KG梅田キャンパス10階1002号室で開催。参加費は無料。
10:10 関学/梅田キャンパス  10階1002号室 開場
  司会:安井先生
10:30~10:35 同窓会会長の挨拶
10:35~11:30 久保忠生様の講義 (YSK-08)  「商工会議所の経済視察で見てきた中国
質疑応答
11:30~12:25  松野雄二様の講義 (YSK-05)  「プロジェクトとリーダーの素質 
質疑応答
12:25~12:35 休憩
12:35~13:30 三野和雄の講義 (YSK-03)  「長期停滞と成長戦略
  質疑応答  

コード 33377737出席者 21名337337
YS -00 安井 先生
YSK -02 亀治中 幸男
-03 湯上 敬明 三野 和雄 三輪 眞
-04 美濃田 秀行 釜江 修一 福田 豊
-05 松野 雄二
-07 村司 政昭 上辻 雅明 塀内 伸和
-08 安井 一雄 久保 忠生 倉知 弘 田倉 哲也 中野 吉弘
-08 青木利明
  -14  岡村博之        
-16 北村 高史
  -30 丸川 壮平         
 

写真は
YS-03湯上様・YS-08青木様に撮影して頂きました。写真をクリックすると大きくなります。
各講義に対する安井先生の要約文を、先生の感想として、写真の後に掲載させていただきました。
ご覧ください。

2018修学会・梅田ゼミ(2018.9.1、関西学院梅田キャンパス) 感想

 

 松野雄二さん、久保忠生さん、三野和雄さんの三人の報告は、それぞれ個性的で内容的にも興味の持てるものであった。

 

1. 松野雄二さんの講義 「プロジェクトとリーダーの素質」

興味をもって聴いたが、内容を要約することは私には難しいので断念する。

IOT時代。企業はグローバル企業であるが、消費はグローバルにはなりえない。起承転結に相当するのが Mission Passion Session Close である。リーダー像 として、 盛田氏、本田一郎氏の名前が挙がった。)

 質問として、大塚家具の例が問われ、これに対し説明があった。 また、インターネットによる人材募集業の経験から、企業が人間の多様性を切り捨てていく懸念、が指摘された。 あと、堀場製作所、パナソニック、シャープの名が質疑応答の中で、松野氏から出た。日本の技術レベルは髙かったが、ブランドを確立できなかったところに弱さがあった。

(感想)話しのレジュメがほしかった。未来志向の話しなので、まずIOTInternet of Things) とは何か、その理解に合意はあるのか、企業の内部組織がどう変わっていくのか、などなどについてわかりやすく系統的に説明がほしかった。

 

2.久保忠生さんの講義 「商工会議所の経済視察で見てきた中国」

2017年から2018年にかけての4回の中国と台湾訪問の報告。広州交易会、広州と深圳の中間の町の工場見学、深圳の様子、義烏(ギウ)・福田市場その他訪問先の興味深い説明があった。台湾のロータリークラブ訪問の話しもあった。

 (感想)

1.   詳しい資料を用意しての旅行の巧みな説明があり、興味深く聴けた。

2.   工場見学で、地方出身者の寮生活の様子から、昔の日本の状態を思いだした、女性社長の高級感ある服装という対比が面白かった。

3.   広州交易会、義烏市場訪問では1人に1名の通訳が付き、マンツーマンで見学できたのはすばらしい。

4.   スマホ決済が中国では非常に盛んだという報告を聞いて、日本の遅れ(?)と理解すべきかどうか、考えさせられた。

5.   台湾訪問で、向こうが英語使用を望んだのに、こちらの事情でそれに対応できなかった、という報告を聞いて、そうだろうなと思った。 

6.   私自身、中国人留学生の良くいえば積極性、悪く言えば遠慮のない厚かましさ、を感じているので負けるなとの危機感をいだいてきた。アメリカ人のような自己主張の強さがあり、いまや二大国の覇権争いの必然性を理解できる。

7.   中國のインフラ(空港、高速道路、高速鉄道、超高圧送電、街づくり)整備状況について数値的な説明があった。質問でもっと時系列的な資料を示してほしい、との要望があった。この問題と関連し、開放政策へ転換(1978年)後の中国経済の発展について概説的な説明をどなたかにしてほしいと思う。また中国の地図も示してほしかった。

 

3. 三野和雄さんの講義 「長期停滞と成長戦略」

日本は過去30年ほどの間、人口1人当たりのGDPがほとんど伸びなかった(0.95%)先進国中ほぼ唯一の国。日本経済の低成長の原因は複合的であり、これを生産性の低下、少子高齢化の影響、総需要の低迷、の3面から検討した。

(感想)

1.  日本経済の低迷、ひいては日本の国際的地位の低下、をマクロ的に、供給面・需要面から理論的・統計的に説明し、説得的な内容で非常に有益なプレゼンテーションであった。

2.  深尾京司氏(一橋大)らのミクロデータによる製造業部門と非製造業部門別、大企業と中小企業別の生産性成長率の研究、保育所の整備と教育無償化の経済成長促進効果に関する高橋悠准氏(京都大)の推計、外国人労働者の受け入れ効果に関する北尾早霧氏(東京大)らの研究が紹介された。ミクロ的データによる研究の重要性が示唆されたことは有益であった。

3.  潜在的GDP成長率の推計を現実のマクロデータを用いて行う場合、供給サイドの推計が確実におこなえているのか、すでに資本ストック、労働力双方の利用度の問題が影響しているのではないか。供給面と需要面を分離して統計的に計測できるか、計量経済学の問題。

4.  日銀の黒田総裁の低金利維持政策が経済成長にどう寄与しているかについて疑問が提示された。同感である。私は為替レートの円安維持、株価維持効果など金融面にとどまっていて、実物面への効果(消費や投資の拡大)は確認されていないと考えている。

5.  大企業の内部留保の拡大が実物面での投資拡大に結びついていない点につき、税制の改定の必要の議論があるとの指摘は興味深い。4の問題とも絡み、需要不足の状況(それでいて金融面での活況。しかし市中銀行の収益悪化)が現状ではないのか。供給力不足・需要超過があるなら企業は投資増加を積極的に図るのではないだろうか。

 

       ( 201893日     安井修二 )